the remains in the box
---introduction;
公園で箱を見付けた。
ベンチに置き去りにされていた大きなそれはどうやらボール紙で出来ているようで、しかも上から無造作に貼ってあるのは銀紙だ。
いかにも子供が作ったようだったけれども新一は一応触れずにおこうとして、
「何やこれ」
「……触るなって言ったろ」
「聞いてへんよ」
「……今言おうと思ったんだよ」
「空っぽやで、これ。大きさの割に軽いし」
「だから触るなって」
「おにいちゃんたち、どろぼうさん?」
「はい?」
振り返れば年端も行かぬ少女が一人、長い髪を揺らして立っていた。
夕暮れに少女の背丈を越える影が後ろに伸びている。
「違うけど」
「知り合いには居るけどな――ッ痛」
「だってしいちゃんのはこだもん、それ」
「これ、君の? 忘れ物かと思って拾ったんだよ」
「せや、ケーサツに届けよかって言ってたトコや、なあ」
「そうなの?」
「……調子良い奴」
「まあまあ。――これ嬢ちゃんのやったんか。なら返すわ」
「ありがとう。おれいに、さんわりあげる」
「三割」
「……イミ分かって言っとんのやろか」
箱を受け取った少女は軽々と箱を開けた。
中からもうひとつ、縮尺が変わっただけの箱を取り出す。
取り出したそれをまた開ける。
中から現れたのはまた同じ、少し小さくなっただけの箱。
開けては取り出し、開けては取り出し。ベンチが箱で埋まってゆく。
「ロシアの民芸細工……」
「俺もそれ考えてた」
「はい。これ、あげる」
七度繰り返して、取り出した箱が目の前に差し出された。
「……おおきに」
「おもいでさんわりぶん。はい、どうぞ」
「――思い出?」
箱に視線を落として、再び上げて。
伸びるベンチの影に沈んだように少女は消えていた。
開いた七個の箱と共に。
夕陽に鈍く光る箱を手に、逡巡は一呼吸。
「――開ける」
「ち、ちょお待ち――」
相手の制止にも構わず、開けた。
――そこには。
>>>To be continued ;
***the remains in the box...voting***
箱に入っていると思われるモノをひとつ、投票していただきました。投票期間:2004/10/20-11/1
協力してくださいました皆様、ありがとうございました!
ちなみに管理人は全部に一票入れております(笑)総計23票です。
1位 | 壊れたオルゴール | 7 | ・思い出は音とともに蘇るので、私だったらこれです。 ・「想い出」という響きで… |
2位 | ビー玉 | 5 | ・こどもってこれが好きですよね。 ・ビー玉って子供は集めそうな… |
3位 | 懐中時計 | 4 | ・現在・過去・未来 ・懐中時計って時を刻むものだし、懐かしさや優しさを感じて好きなんです…。 |
4位 | 空 | 2 | |
4位 | セピア色の写真 | 2 | ・ベタですが… |
4位 | 高校入試の受験票 | 2 | ・ある意味、一番強烈だと思うんですよ。 |
7位 | スプーン | 1 |
以上、頂きました結果を基に何かしらの形を作りたいと思います。
11月中にお披露目予定ですので暫しお待ち下さいませ。